2005 年
友情から生まれた原点 ― 好奇心に導かれて
2005年、オールボー大学で出会ったジャスパー・オーバーガードとクリスチャン・ディルマン。ふたりはすぐに意気投合し、学生プロジェクトに共に取り組むようになります。
それから3年後――履歴書には理学士の肩書きが並び、ふたりは揃ってコペンハーゲンへ。
そしてデンマーク王立芸術アカデミー建築・デザイン・保存学部に進学、
家具と空間デザインを専門に学びます。
2011年1月、彼らは同校を卒業し、家具・空間デザインの修士号を取得しました。
2005 – 2011 年
共通する情熱、補い合う才能
同じクラスで始まった友情は、やがて強い協働関係へと発展していきました。
学びの場は、クラフトを探求するための実験の場となり、
素材や技術についての深い知識を養うと同時に、
個々のスキルとチームとしての能力を磨く機会に。
その年月は、後にOvergaard & Dyrman(オーバーガード&ディルマン)
となるブランドの礎を、間違いなく形づくった時期でした。
2011 年
現実の世界へ ― 離れていても、共に歩む道
卒業後、ふたりの家具デザイナーとしての道は、一旦それぞれ別の方向へと進みました。
デンマークの反対側に位置する2つの異なるデザイン・開発会社で働き始め
クリスチャンは北部へ移り住み、ジャスパーはコペンハーゲンに残りました。
距離が離れても、「いつか一緒に何かを始めたい」という思いは
むしろ強くなっていきます。本業の傍ら、創造的なアイデアの交換を続け
スケッチや製作図面が国を横断して飛び交いました。
「ある日、音楽フェスティバル(デンマーク最大のロスキレ・フェスティバル)で
ライブとライブの合間に弟の家に立ち寄って、それまで取り組んでいた椅子のデザインを登録したんです。同じ頃、別のデザインで大手家具ブランド主催の
コンペティションで2位になり、その優勝作品は製品化されました。
結局どちらの椅子も形にはなりませんでしたが
私たち自身の方向性やスタイルを見出す大きなきっかけとなり
それが後に〈Wire コレクション〉として表現されることになりました。」
― ジャスパー・オーバーガード
2013 年
Overgaard & Dyrman の誕生
職人技とデザインの融合から生まれたブランド
Wire コレクションの原点は、学生時代にまで遡ります。学びで得た知識と
それぞれが身につけたクラフトの技術を掛け合わせたことから、その構想は生まれました。
デザインを学ぶ以前、クリスチャンは鍛冶職人として専門教育を受け、
一方でジャスパーはレザークラフトの可能性を探求していました。
この 2つの異なる、そして長い伝統を持つ技術 ― 馬具職人の革仕事と精緻な鉄工技術 ― を融合させたことが、彼らのデビュー家具となる Wire コレクション を形作りました。
一時は、2つの著名ブランドが Wire ダイニングチェア の製品化に関心を示します。
しかし試作されたプロトタイプに満足できなかったふたりは悟りました。
「求める品質に辿りつくには、自分たち自身が作るしかない。」
そして2013年初頭、ふたりは覚悟を決めます。
全てを賭け、Overgaard & Dyrman を設立しました。
2013 – 2014 年
手仕事から生まれる革新
限られた環境で、理想を形にする18か月
限られた環境で、理想を形にする18か月
ブランド設立後の18か月間、ふたりは 妥協なきものづくりのために
必要な工具を「買い、借り、そして自ら作り」ながら
ワイヤーチェアの製作体制を整えていきました。
「最初の300脚は、すべて僕とジャスパーの手でつくりました。
金属加工は、姉が使っていた鶏小屋を改造した作業場で僕が担当し、
ジャススパーは幼少期の自宅の寝室を改装した小さな仮設アトリエで革作業を行っていました。
決して整った環境ではなかったけれど、限られた資源の中でやり抜くしかなかったんです。」
― クリスチャン・ディルマン
極めて質素な環境。
しかし、その制約こそが、Overgaard & Dyrman のものづくり哲学
―「技術と美の融合を、手から届ける」を
強固なものにしていった時期でもありました。
2014 年
Wire Collection 誕生
試作から飛躍へ ― 世界が注目した瞬間
Wire ダイニングチェアの完成を皮切りに、まもなくラウンジチェア
そしてラウンジソファが続いて生まれました。
2014年1月、ドイツ・ケルンで開催された国際家具見本市 IMM Cologne にて初公開されると
高い評価を獲得。その直後、ロンドンで開催された World Interiors News Awards のイベントでは
家具部門で “Best Furniture(最優秀家具)” を受賞しました。
この時点で、Wire collectionは正式に世へ送り出され
Overgaard & Dyrman の名は国際舞台へと羽ばたいたのです。
2015 年
工房の誕生
Overgaard & Dyrman のものづくりが根づく場所
家具コレクションの発表とともに需要が高まる中、デンマーク北部に新たに設立された工房に
初めての熟練クラフトマンがチームに加わりました。
その後、ワイヤー・バースツールやスツールがコレクションに追加され
ラインナップはさらに拡大していきます。
当時も今も、Wire collectionのすべての製品は完全受注生産。
一脚一脚が職人の手によって仕上げられ、製造者自らが手作業で
刻印とシリアルナンバーを打刻しています。
それはただの椅子ではなく、
作り手の技術と誇りが宿る「作品」として送り出されるのです。
2019 年
Circle Collection誕生
次なる挑戦 ― 素材の可能性を広げた第二章
熟練したクラフトマンのチームが拡大し、独創的なデザインと妥協なき品質によって
国際的な評価が高まる中、2019年、Overgaard & Dyrman は
第二の家具コレクションとなる Circle collectionを発表しました。
その第一作が Circle Dining Chair です。
Circle collectionでは、スチールやレザー以外の素材に挑戦すると同時に
形や素材の両面で高いカスタマイズ性を備えたチェアのラインナップを目指しました。
製作には、CNC加工などの現代的な技術はもちろん
伝統的な木工継ぎ手、精密な金属加工、クラシカルな張り加工など、新旧の技術が融合。
その結果、Circle collectionは、Wire Collectionから
自然に進化した次なる一歩となりました。
2025 年
チェアから、テーブルへ
新たなコレクション、2025年発表へ
2025年、Overgaard & Dyrman は新たなコレクションを発表します。
ブランドの核である「チェア」から一歩進み、テーブルという新たな領域へ。
これまで培ってきた美学、素材への探究、クラフトマンシップをさらに拡張し
空間と家具の関係性そのものに、新しい視点を提案するコレクションが登場します。